DENNCO プロジェクト (ドラフト)

はじめに

いくつかの文献によると、脳細胞は、レセプターと呼ばれる端子を通して他の脳細胞や神経細胞から信号を受け取り、そして自身、軸索という出力用の枝を通して他の脳細胞や神経細胞に信号を伝えているそうです。ここで、レセプターは一つの脳細胞に複数あるのに対して、軸索は一つだけだということです。

これは興味深いと思いました。「複数の入力を受け取り、一つの出力を出すモジュールをコンピュータ内に構築し、それらの出力を特定の方法で相互接続させることで脳が行っているような活動を人工的に作り出すことができるのではないか」。脳の完全コピーを作ろうとは思いませんでした。しかし「その基本構造をヒントに何か新しい情報処理の方法を見いだせるのではないか」と思ったのです。

各細胞にあたるモジュールを入力信号に対して、どのように反応させ、それらをどう相互接続させれば何か有用な仕組みを実現できるか、これが最大の関心ごとです。

どの人も同じような場所に目があり、口があるように、脳の中の各脳細胞の反応の仕方とその接続関係も生まれながらにしてほとんどが決まっていて、多く共通点があるのではないかと考えています。人間が話せるのは、会話プログラムが脳の中にあらかじめ組み込まれているからではないでしょうか。 私の家にはペットとして飼っている猫がいますが、生まれてしばらくしてから我が家に引き取られ、その後、室内飼いをしているため、ほかの猫たちとはほぼ接したことがありませんが、それでも、怒ったときには毛を逆立てるし、爪研ぎもするし、他の観葉植物には興味を示さないのに猫草はガシガシしたりします。これも脳の中の細胞の働きや相互の接続、そのほとんどのが生まれながらにして決まっているということの証拠ではないかと思っています。

DENNCO プロジェクトが扱う処理系は複数の入力と単一の出力を持つ「セル」と、その接続関係を主な構成要素としています。セルの持つ入力と出力はそれぞれ単純な実数値です。 とてもシンプルな入出力の構造のため、並列処理に向いていると思います。また、「セル」をプログラムとしてではなく、電子回路として物理的に実装することも不可能ではないと思っています。

是非実際に動いているところを紹介している以下のビデオも観てみてください。

紹介ビデオ:http://youtu.be/wBETQgPLPGo

DENNCO の利用例ビデオ:http://youtu.be/_GlLMsPFoWE

当面の目標について

DENNCO プロジェクトは当面、人と人とが交わすコミュニケーションや、産業用ロボットが行うような寸分の狂いも無く、正確に動作するような仕組みを実現することを目標としていません。 特定の分野で人間同等か、それ以上を実現する仕組みの実現を目指しているのではなく、動物が共通してできることを、ロボットにも同様に実現できるようにすることを目指しています。

しつけられた犬は主人の身振り手振りのジェスチャーや、音による命令を受けて、あらかじめ教えられた行動をします。ここでの人間と犬の間のコミュニケーションや、教授の手続き、これを人工知能の仕組で実現させる、プロジェクトを通じて実現させたいことの一つです。

また、ロボットの手足を動かすといったような制御系の仕組みへの利用に適正があると考えています。例えば歩行のための信号のパターンをあらかじめ複数のセルにプログラミングしておき、歩行動作を実現させるのです。

DENNCO プロジェクトは、こういった「動物なら共通してできていること」を機械で実現させるための方法について、新しい解を与えてくれるのではないかと期待しています。

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