コミュニティセンタで活躍するPC-BSD

私は非営利のコミュニティセンタでITディレクタを務めている関係上、いつも様々な苦労に見舞われているが、最大の問題は予算がないことだ。そうした現実を反映するかのように、私達のセンタは機能的に見劣りする旧式のコンピュータで溢れている。当然の帰結として私は、フリーで操作性に優れたオープンソースソフトウェアを常に探し回っている。そのような状況の中、私が標準のオペレーティングシステムとして選択したのが、旧式マシンでも優れたパフォーマンスを発揮してくれるPC-BSDであった。

センタにあるマシンにインストールすべきオペレーティングシステムを検討する場合、最低2つの要件を満たすことを考えなければならない。1つ目は、パフォーマンス的な要件だ。ここで求められるオペレーティングシステムは、Pentium IIIマシン上でまともに動作しなければならない。アプリケーションの反応が遅すぎると、待ちくたびれたエンドユーザが何をどうクリックするか分からないからだ。そうなると、例えばプリントキューに同一書類40件分のジョブが溜まるような状態が発生し、そうしたトラブルの始末をさせられるのは他ならぬ私自身なのである。2つ目は、操作性面での要件だ。私がサポートしているユーザの大部分は、コンピュータスキルがさほど高くなく、またWindows環境に慣れている者が多いので、デスクトップ環境のルックアンドフィールに統一性を持たせておかないと、オープンソース系オペレーティングシステムを使いこなすのは難しいであろうし、また本質的に同じ内容の作業に関する山のような質問が、結局は私のもとに押し寄せてくるのである。

いくつかのLinuxディストリビューションを試したところ、いずれも速度、操作性、管理性のどれかに問題があり、最終的にたどり着いたのがPC-BSDである。このオペレーティングシステムはインストールが簡単であるだけでなく、さすがにPentium Iマシンでは無理があったものの、その他すべての旧式マシンでまともに動作してくれた。実際、寄贈品パソコンの大方に搭載されていたWindows 98SEと比べても、デフォルトインストールのPC-BSDの方がよほどキビキビと反応している気がする。またこれは安定性にも優れており、システムのフリーズやクラッシュにもほとんど遭遇していない。

当然ながら私達の手元にあるマシン群に統一性はないので、互換性の問題は常に考えておかなければならない。とは言うものの、プリンタやスキャナなどの周辺機器については、さほどの問題は生じなかった。たいていの装置は、インストール時にPC-BSDが必要なドライバを自動的に検出して用意してくれたからだ。

これまでに試したオープンソース系オペレーティングシステム用のアプリケーションは、どれもインストールや機能面でのトラブルと無縁ではいられなかった。PC-BSDではこうした問題の対策として、使用頻度の高いアプリケーションが初期インストール段階でバンドルされており、インストールプロセスもWindowsのインストーラとよく似た手順で実行できるようになっている。

私達のセンタのユーザがコンピュータで行う作業は、平均的なコンピュータユーザが自宅で行っているものと大差ない。実際、DVDおよびMP3の再生や画像の表示は、PC-BSDでも行える。ここでのコンピュータで行われている主要な作業は、電子メール、Webサーフィン、ドキュメント作成だ。WebブラウザはMozilla、電子メールクライアントはThunderbirdを使用しているが、これらは操作性に優れているだけでなく、危険な行為に対する防備機能も備わっているので、私が行うべきメンテナンスの手間も削減してくれている。またOpenOffice.orgから提供されているOfficeスイートは、Microsoft Officeとの互換性も高く、これらのドキュメントを編集や印刷用に外部から持ち込んできても、いったんインポートしてしまえば、後は必要な操作を簡単に実行できる。

アプリケーションの削除作業は、他のメジャーなオープンソース系オペレーティングシステムと比べても、PC-BSD環境の方が簡単である。PC-BSDで用いられているPBI形式のインストレーションフォーマットの場合、依存関係やインストール位置の確認に手間をかける必要はない。またこのタイプのパッケージはセルフインストールに対応しており、アプリケーションインストール用のグラフィカルインタフェースも整備されている。コミュニティセンタで使用するコンピュータ環境を維持するには、新規プログラムを導入する作業も当然必要だが、このフォーマットはその際の手間を削減してくれるので非常に重宝だ。

コミュニティセンタという性質上、ここで開催するクラスでは様々なコンピュータの使い方をしている。また、ユーザが自前のマシンをクラスに持ち込むようなケースもある。PC-BSDであればWindows用の機器類との親和度も高く、ネットワークに新規接続したマシンでプリンタなどのリソースを共有することも可能だ。もちろん、クラスの受講者が装備品のデスクトップPCを使う場合もある。KDEウィンドウマネージャの操作性は非常に高いものであるため、若干異なった環境で習得したスキルであっても、最小限の手間で自宅にあるWindowsコンピュータ用に置き換えることができているようだ。

旧式マシン上でWindowsを使用しているユーザで、より安定かつ安全なオペレーティングシステムへの乗り換えを考えているのならば、多数のソフトウェアが使用可能で、パフォーマンス的にも優れたPC-BSDの移行は、時間と手間をかけて検討してみる価値があるだろう。また最新のマシンを使用している場合でも、定期的にセキュリティパッチをあてる必要のないPC-BSDは、魅力ある選択肢のはずだ。

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